東日本大震災や福島原発に加えて台風12号による記録的豪雨災害もあり、未曾有の自然災害で日本列島はかつてないほど広範囲に壊滅的打撃を受けて、この上更に何かあると国として破綻してしまうのではないかと思えるほどです。自然災害があまりに大きくしかも多発して、そればかりに目を奪われがちですが、その影でそれ以前から進行している農業崩壊についてあえて言いたいです。
リーマンショック以降高価なものが売れなくなって3年目になります。農産物においても同様で、売れなければ売れるまで値を下げる安売り合戦に、高価な高級品は敬遠されるか値崩れするかです。
他方、生産コストは原油高騰のあおりを受けて、生産資材は値上げにつぐ値上げで、膨らむ一方です。この傾向は10年以上前から続いています。10年以上前から農産物の市場価格は下がり続けているのに、生産資材は上がり続けているのです。原油が値上がりすればすべての資材は値上がりします。例えばビニールハウスのパイプ一本の単価はこの10年でほぼ倍になり、ビニールの単価も50パーセント前後は値上がりしています。なぜ農産物が生産コストを販売価格に転嫁できないのか、市場に出荷しての委託販売のため、生産者自身が販売価格を決められないからです。他産業は生産コストを原価計算して利益を上乗せして販売価格を決めるのを当然としているのに、農林漁業の第一次産業だけはそれができない、なんとも理不尽だと思っています。
日本の農産物は諸外国に比べて高いとか、コストを下げてもっと低価格にするべきだという声にはほとんど怒りすら覚えます。農産物の生産資材は需要が限られている分余計に高くなるのが常です。それでもそれを使わざるを得ない、日本に住んで、日本で農業をしているからです。地価とか住宅価格、物価、人件費等々、比較するならそれら総体で諸外国と比べるべきです。日本の中で、第一次産業だけは途上国並みにというに近い論議は、この不況下ハラワタが煮えてくるのを覚えます。
私は日本の農業、農産物は品質的にも技術的にも世界でも抜きん出ていると信じています。バブルが崩壊した時点で世界市場に打って出るべきだったと今思いますが、国内消費だけでは農業も先細りしていくばかりです。
福島原発問題で海外への道が非常に厳しくなって、出口のない消耗戦を余儀なくされていますが、農業はもとより個人経営が主体で、赤字経営では体力的にもそう長くは維持できません。
今、品質の高い農産物を目指すほど、安くなければ売れないという不況下では、生産者は赤字幅を大きくします。努力しても報われないどころか、努力すればするほど損をする、とんでもない時代に入っています。これまで全国にその名を馳せたブランド品の産地も、多分崩壊し始めていると思います。
世界で勝負できる高い品質や技術を自ら放棄したら、日本の農業は世界で生きていける唯一の道を自ら閉ざします。
まさに日本の農業は終わりつつあるということです。
