今年は例年より早く加温を切り上げて、ハウスの上下は開放して外気に晒しています。15度以上の夜温が確保できるかどうかは、私の感ピュータではいけそうだと思っても、現実はお天気任せの出たとこ勝負です。夜温が低すぎると着色は進みますが、粒の肥大にはブレーキがかかります。
逆に夜温が高すぎると粒はどんどん肥大しますが、着色は進まず、粒の肥大と着色の両方を得ようとすると、16〜18度の夜温が理想ですが、お天気ばかりはままならず、どちらかへ極端に振れるリスクも付き纏うのが常です。
熱帯夜になると着色が進まないのは常識ですが、私の20年以上のデータから見ると、23度が限界で、それ以上になると着色は殆ど進まなくなります。近年の気象状況からすると、夜温が20度越えするのが、次第に早まってきているようです。着色系のブドウは、着色の初期始動を、粒の肥大不足を招くリスクはあるにせよ、6月早々に設定しておいたほうがよさそうです。夜温が20度越えをしてからの着色は、遅々として進まないのが通常であるが故にです。
着色が始まると現れるのがハクビシンです。昨年は色づいた粒が翌日には食べられて無くなっているという状態が暫く続き、犬毛をハウスの外回りに吊るすなどして何とか食い止めましたが、今年は獣害防止のガードネットをハウスの外回り全域に張り巡らしています。東南アジア産の唐辛子カブサイシンをまぶしたネットで、昨年ゴルビーの園地で試用してみて、ハクビシンをシャットアウトできましたが、15アールのハウスの外回りをぐるりと巻きつけると、12万円程度はかかります。
一体どこまで生産コストが増えるのか、5箇所のハウス全部だと60万円、溜息もでます。
されど、今年の春先からの寒暖の差の激しさからしても、加温施設を伴う施設栽培でないと、お天気任せの露地栽培ではもう無理ではないかと、ますます確信を深めるばかりです。
加えて、山間地域での農業は獣害の深刻さも根こそぎ的で、金網等柵で囲ってということになり始めているようです。
動物の側から見ると、人間が檻の中に入り始めているように見えるのではないかと思います