写真のゴルビーで粒の大きさは小指の指先ほどで、来週中頃には摘粒、房作りに入ることになりそうです。いよいよブドウ作りの最大の難所にはいります。女性陣はこれからこの摘粒、房作りという難儀な作業がほぼ二月続くことになります。
ゴルビーは他の品種に比べて果梗の伸びが乏しく、かつ固く弾力性に乏しく、よほど強めに摘粒した積もりでも、粒が肥大しようとする勢いが強いため、ぎゅう詰めの房になりがちです。ぎゅう詰めになっても、それでも肥大しようとして裂果するという厄介なところがあります。
更に難しいのは着色です。赤系品種の着色はいずれも難しいのですが。ゴルビーは特に難しいようです。ただ着色を優先させるなら、加温を早めに切り上げて、15度以下の低温に夜晒せば、着色は可能になりますが、粒の大きさはせいぜい15グラム程度までです。
そんなつまらないゴルビーを作りたくなくて、着色を無視して、最大粒が30グラムを優に超えるピンポン玉ゴルビーを作っていたのですが、着色とは全く関係なく食味は凄いものがありました。がじがじ噛み砕いて食べる果肉の食感、青くても糖度は18度はあり、酸味もあって、実に濃厚な味で、ブドウを食べているとは思えませんでした。強いて言えば、青リンゴの糖度を高くしたような、そんな感じだと言えます。
その食味の凄さで売ろうとしてきたのですが、何年かすると、赤いものはやはり赤く着色させたいと、一昨年辺りから着色させるべく方向転換を始めています。
粒の大きさは20グラム前後、房の大きさは800グラム程度を、着色させるぎりぎりの設定にしています。やはり私は総ての要素をクリアしないと納得できないようです。
品種の可能性の限界ぎりぎりを攻めるのは、総ての要素を最高点で結んで一房のブドウを結晶させることで、天気の加減などでバランスが崩れると出来損なうかもしれない、リスクの高い作り方であるのは間違いありません。
ゴルビーという品種は、ブドウとは思えないような、際立って異質な品種です。ハクビシンとかヤガとかの食害に会うことでも、他の品種に比べて抜きん出ています。人間には感知できないような、特異な何かがこの品種にはあるのだろうと、ずっとそんな気がしています。