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2012年01月27日

続 プランターから農地へ (私の事例)

私はブドウ作りを誰にも教わってはいない、と言うと大抵の人は驚くのですが、私のブドウ作りの入り口にあったのは、県普及所から貰ったA3用紙一枚のマニュアルと、親父の通り一遍の大雑把な知識だけです。
前記ブログで、マニュアルがあれば始められると記していますが、私のブドウ作りも、実はその程度のところから始まったのです。家が農家とはいえ、それまでの私は、たまに手伝うくらいで、農業知識と経験の無さはほぼ0に等しく、学歴も文学部卒と全く無関係です。余談になりますが、学歴や職歴に全く整合性が無い人生を歩んできたということを、自分では結構気に入ってるのです。
農業を始める前に、専門的な予備知識は、かえって無い方が良いというのが、私の農業暦25年間の一つの結論です。光合成は光と水とCO2とか肥料の3要素とか、中学生程度の知識で差し支えないと思います。
物作りに一番大切なのは感性です。物作りとしての感性を研ぎ澄ますためには、生半可な雑多な知識はむしろ邪魔です。言葉以前の幼児の鋭い直感力が理想なのかも知れません。
私は就農時ブドウ作りを始めるにあたって、頭を先行させないために、病害虫の本一冊は別に、専門書を読むことを自分に禁じました。知識が先行して目が曇るのを避け、徹底した現場主義で臨もうと決めていたのです。ブドウの事はブドウに教えてもらう、それくらいの心構えだったと思います。
今でもまだ続いていますが、新芽が開いて展葉が始まると、園地に入ると腕とか肩とか体の皮膚が、センサーが作動するかのように、ざわつきます。見るということにそれくらい神経を集中させてきた結果です。
私がブドウを作るにあたって、もっとも神経を集中させていたのは、葉の状態です。(あいつは何だってあんなに水ばかりかけるのだ、葉呆け,木呆けしてしまうわ。)親父の怒鳴り声が聞こえてはいたのですが、一切無視、果実が製品で葉が工場なら、葉を傷めずに活性を保つことが何より大切、西も東も分からなくても、私は私の流儀でいくと決めているのです。
見るということは、天気や作り手の働きかけが木や葉や果実にどう作用するかを、見るということです。ブドウ作り6年目から加温栽培を始めて、各ハウスの日々の最高最低温度を記録し、温度とブドウの関係のデータ取りも本格化させましたが、作業及び生育日誌とこの天気及び室温の記録という、三つのデータを取り続けることで、ブドウの生理構造に自分でメスを入れることができました。と同時に作業工程一つ一つを洗い直し、これは今後も続くことですが、ベストな方法を探し続けてきました。産地の常道には、作り手の都合を優先した、健全な生育から捻じ曲げられたやりかたが、基本的なところで結構あるということも見えてきました。
私のブドウ作りの最初はピオーネ一筋で、ブドウ作り9年目に日本のトップ市場でピオーネのトップ生産者という位置に到達しました。ズブの素人が自分の流儀で、わずか9年で、いわば日本の頂点に突き抜けたということです。活力の高い木を作ろうと、葉を傷めないような管理に努めたことが、結果的には最短距離を走ったということになりました。産地に学べ、産地に倣えばかりの産地追従では、産地を越えることはできず、そういうことにはならなかったと思います。
私が言いたいのは、素人だから未経験だからということは、問題では無いということです。農家と言えども、新しい物に取り組む時は、素人同然です。物作りはむしろ捉われの無い素人的な発想が必要なのではないかと思います。勿論失敗も多々あります。同じ失敗を繰り返さないよう、徹底的に検証して、どうすれば出来損なうかを消去法的に塗り潰して、技術という階段を一歩一歩上がっていけるのだと思います。まさしく失敗や躓きこそ師なりです。
より高き品質を目指し続けるということは、技術革新を図り続けるということでもあり、新たな試みには常に出来損なうかもしれないリスクは付きまといます。ブドウ作りを生活の糧にしているのだから、失敗することはそれは怖いですが、より高くを目指し続ける以上、やはり挑み続けるのだと思います。
私のブドウ作りを詳細に語るには本にでもまとめないと無理ですが、素人が物作りの世界に飛び込んだ一つの事例として、参考の一つになれば幸いです。
posted by 明石 at 23:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 園主の独り言
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