ともあれ、新芽が開いて展葉が始まったこの時が毎年ながら、本年度作の本格的な始まりの時です。落葉果樹は年一作、常に未知なる新たな年の新たな一作です。昨年できても今年できる保証はどこにもありません。ことに近年の気象状況からして、そのうちとんでもない天候に見舞われるのではと、常にどこかに不安を抱えています。
農業は天気、天候との格闘です。昨年の猛暑も不作域のレッドゾーンギリギリだったと思います。どうにか潜り抜けて今年につなげてますが、果樹は一度傷めると、成木ほど能力的に再生不能となります。
私がブドウ作りを始めた最初のピオーネの園地で、樹は8年生で働き盛りに入っていたのですが、7月の初めに台風が来て30m以上の風に葉をなくしてしまって、樹力はその後二度と回復しませんでした。その年の果実だけならあきらめますが、たった数時間の暴風で、8年間かけてしっかり育てた成木を断念するのは辛かったです。
私の住む香川県は雨の少ない地域で、干ばつの心配も常にあります。ブドウの粒の肥大期に水がないということもじりじりするほど情けなくつらいです。水槽というより池と言うほうが適当かもしれません。200トンクラス2か所、300トンクラス2か所、500トンクラス1か所の小池を自力で作って、慢性的な水不足はどうにか解消できたようです。
振り返ってみると、天気、天候に随分傷めつけられながら、それに抗し、何とか克服しようとあがきつづけて来たように思います。
私にとってはブドウがご主人さまで私が召使なのかもしれません。