バイデン新大統領がホワイトハウスに入ってやっと米国の大統領も交代しましたが、新大統領就任式が出席者を制限して異例の物々しい警戒態勢の中で行われている映像は、それがどれほど不穏な空気の中で行われているのか、新政権下の米国の今後にも深い影を落として、果たして自由と民主主義の盟主の座に帰りつけるのか、そう簡単ではなさそうです。
トランプ氏は大統領選に登場した最初から、自分に不都合不利益なことは一切認めない全くの自分第一主義で、マスコミをことごとくフェイクと決めつけたりした挙句、今回の選挙戦では開票状況が思わしくなくなると不正が行われていると言い続け、米国の民主主義を根本からひっくり返してしまいました。厄介なのは開票結果から見てもトランプ氏支持者はほぼ半分近くと言えるほどで、その大部分が選挙に不正があって負けたのだと信じているとしたら、米国の分断分裂はこの先も深刻さを増してゆくのではと危惧します。
多少の不備とかはあるにせよ、選挙そのものを信じられなくなれば民主主義は崩壊して、野蛮族の時代に逆戻りするだけです。トランプ氏は今回の大統領選で世論調査などでの自分の劣勢から、自分が負ければ選挙に不正があったと主張するとか、法廷闘争にまで持ち込むとか、最初からシナリオを描いていたように見えましたが、自分第一主義の公人資質の乏しさは国の半分近くにも達するような支持者を巻き込んで、米国も支持者も深く傷つけてしまったようです。
トランプ氏には保守岩盤層的な支持者が40%ほどいると、世論調査でもそれはずっと変わらなかったようですが、人の本性を露にするかのような言動に支持者が共鳴していたとすると、今後ともトランプ後遺症は厄介です。世界のどこの国でも自分の国が一番大切なのは基本で、その意味では自国第一主義はわざわざ言うほどのことではありませんが、これが自国が良ければ全てそれで良しとなると、世界との建設的な関係を否定する一国主義になり孤立するばかりです。経済は既に一国主義が不可能なほどに世界が連動しているし、何より地球と言う一つの星に世界の各国は共存しているのだから、気候変動とか人類が死活を賭けて直ちに
結束して取り組まなければならない危機に直面しているだから、一国主義はあり得ないはずです。
米国は自由な民主主義陣営のリーダーとしての覚悟を改めて持たないと、世界は中国とかロシア或いは今後国力が増大して大国となる可能性を持つ国々の、野望や覇権主義の青田刈り的な狩場となる恐れもあります。中国は自国は世界のどこの国も頼ったり必要としないが、世界は中国がなければ成り立たない、そんな国づくりを目指すとしていますが、この発想は世界を中国に隷属させると言ってるようでなんとも不気味で怖いです。コロナ騒動の渦中世界が挙って中国にマスク頼みをする様を見ると、世界はとっくに中国の思惑の渦中に入っているのだと呆れるほどに実感します。
この先世界の国々は中国の軍門に下ると、香港の出来事が他国ごとではなくなるのではないかとも思いますが、共産党一党支配による国家主義と言うか、本当のことが何一つ分からないほどあらゆる情報が管理統制されていて、その意味では国民は盲目の暗黒世界に置かれているのと同じです。本当のことが知りたいという欲求は人の根源的な欲求の一つです。知識は事象の真相に辿り着いてその積み重ねで得られるものです。更に自由な発想がないと、得られた知識から次へと向かう対処法が見出せなくなります。ここに蓋をしておいて人類が成長したり進化したりするはずがないと思うと、中国が世界の覇者になったり、最悪世界を隷属させたりすることになると、それは暗黒世界の暗黒時代だと思うのです。