ブドウを作るのをやめた15aのハウスに小原紅ミカンを植えて、半分は6〜7年生で3年前から収穫を始めていますが、今年度やっと商品化できるレベルになってきました。昨年は収穫後に追熟させるのが上手くできなくて、糖度は12度前後はあるものの酸抜けがまったくせず、食味は酸味ばかりで商品レベルではないので全部廃棄処分にしました。今年度は追熟のさせかたをあちこち調べて昨年とは全く違ったやりかたで、着色と酸抜けにほぼ成功して、商品化してもいけそうな程度の仕上がりにはなりました。糖度的には11〜14度で殆ど12度以上だから、JAだと最上ランクの讃岐紅ミカンとなります。
これから一年一年木が育って葉が茂って果実のグレードも上がってゆくはずで、3〜4年先成木域に達し始める頃には、糖度13度以上の最高レベルのものを作れそうだと思うと、早生系は上手くいかないかもとの予想を覆せそうで嬉しくなってきます。試食モニターをと、収穫した400sは年末年始に親戚友人とかに配ってしまいましたが、食味感想は概ね良好だったようです。
先週東京の市場関係者がやってきました。今年から市場出荷を再開すると昨年伝えていたこともあって、こちらへ来る機会に会っておきたいとのこと。以前私のブドウを担当してくれたO氏と久々に会いましたが、10数年振りだと聞かされて、改めて驚きました。新しく私の担当になるS氏も一緒で、新年早々2人に小原紅ミカンを試食用に送っていたのですが、答えは出荷OKのレベルに達しているとのことで、日本のトップ市場が認めるなら、商品化にお墨付きをもらったようなものです。
ブドウとミカンの園地を一回りして、倉庫に貯蔵している「金峰ミカン」を見てもらったのですが、無造作に取った2個のミカンの糖度を測るといずれも15度以上で、こんな高糖度のミカンは初めてだとあっさり認めました。市場出荷をやめてからもO氏との付き合いは続いて、年に何度かは電話で話すことがあって、数年前から「金峰ミカン」の糖度15度は珍しくなくなってきていることを話してはいたのですが、実際に現場で現物を試食して嘘でなかったことを確認できたようです。「可能なら今年少しでも出荷してもらえませんか。」とミカンの出荷要請は全く予想していなかったので、「少しでもいいなら試しに出してみますか。」と控えめに返答しました。
東京市場にないほど高糖度のミカンに化け始めたことを改めて思うと、強剪定で木の形を縦より横に広げるように作り変えたこととか、全くの自己流でやってきたことが間違いではなかったのを確信できます。ブドウをやめたハウスに小原紅ミカンを植え始めた6〜7年前から、ミカンに取り組む本気度が徐々に増して、普通温州を植え付けようと決めた一昨年から急加速です。本気で取り組むほどに想う以上の結果が出始めると、ものづくりとしての充足感はそれだけでも何物にも替えがたく、更なる次元へとエネルギーが湧いてきます。